2025.10.03
栄養療法

県外から受診の10歳男児 副腎皮質機能低下症

約2年前にCOVID-19に罹患し、これを契機に発症したという、断続的な嘔気・腹痛、いっぺんにたくさん食べられない、朝起きられない、学校に行けない、感染症に頻繁に罹患する、夜に眠れないこともある、等の症状。

前医で漢方薬とビタミンCを処方されたが無効。
グルテンカゼインフリーもやってみたが効果がよく分からない。

先月の前医L/D上、BUN12.4/Cr0.47 Hb12.1/MCV80.3 Zn79。
貧血はないが小球性。BUNはやや低い。

症状経過より副腎皮質機能低下症と臨床診断し、コートリル20mg/朝で開始。

3大栄養素について一般的な説明。

タンパク質や脂質の摂取励行を。
低血糖症はコルチゾールの不足そのものである。

サプリメント療法。まずはFeとMgを充分な量で。

【1ヶ月後】
食欲は6-7割程度にまで回復。元気さも回復した。腹痛はあるが緩和した。
学校に行くことはできるものの、行くと疲れてしまいぐったりとする。
コートリルは20→30mg/朝に増量。
これまでのFe、Mgに加え、B群、B3の併用をお願いした。

漠然とした不安感やパニックはなく、抗うつ剤は敢えて処方しない。

【3ヶ月後】
食欲はほぼフルにまで回復し、学校に通うこともできている。

体育の授業は見学のみ。

寒冷環境には弱く、すぐにお腹を壊してしまう。

回復は主に4種のサプリメントとコートリル30mgの効果と思われるが、ぐったりはしない範囲で適度に負荷をかけることも、今後クスリを減量していく中で必要である。

引き続き肉・魚・卵をしっかりと摂取する他、適度に身体を動かしましょう。

そのことが睡眠の質を高めることにも繋がると思います。(まだ中途覚醒がある由)

コートリルは引き続き30mgで処方するが、学校に行けるならば20mgに減量を。

もし調子が悪くなったとしても30mgにまで戻れば現在の体調にはなるわけですから、恐れずにやりましょう。

【6ヶ月後】
コートリル30mg/朝は当方とTELで相談しながら漸減し中止。

この1ヶ月間は服用していない。

サプリメントは4種類、1日1回で継続中。

顔色よく、元気そうに見える。

学校にも休まず通学できているが、6時間の授業が3日間など続くと、やはり疲れてしまうのだという。

→治療開始からまだ半年。未だ回復の途上にあると思います。

タンパク質や脂質の摂取励行、運動、日光を浴びるなど、引き続きお願いしますと説明し話し合った。

サプリメントも、そろそろ減らすチャレンジをしても良いのかもしれません。

1週間毎に中止のチャレンジをしてみてください。


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副腎皮質機能低下症の典型的な症状と経過。

メンタル面の症状をはっきりと伴うことも多いが、本症例では不眠傾向だけだった。
ぐったりして食欲がないほどであれば、コートリルは恐れずに内用してよい。

栄養の改善とサプリメントのみで回復させるのはかなりしんどいので。

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